エピソードNo.1〜お誕生日のお祝いから結婚記念日へ〜弁護士Yの場合

弁護士Y

尊敬する先輩に連れてきてもらった銀座のバー。
お酒は飲むのが好きだが、ワインの知識もまるでなく、カベルネソーヴィニヨンとシャルドネくらいしか知らない。
加えてお世辞にもお洒落とは言えない自分に、華やかなシャンパーニュなんて似合わないと思っていた。

登場人物

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Sさんのお誘いで銀座のバーへ

先輩Sさん

Yさんも良い仕事しているのだから、たまには良いシャンパーニュくらい嗜んだ方がいいと思いますよ。
今日はこの間のお礼に一杯ごちそうさせてください。

ソムリエ

Sさん、いつもので良いですか?

先輩Sさん

宜しくお願いします。

弁護士Y

銀座のバーでソムリエとスマートに会話するSさんをカッコいいな、と思いつつも、情けなくも緊張しすぎて、出していただいたシャンパーニュの味なんて何もわからなかった。

甘い香りに包まれた、幸せな目覚めの正体は・・・

弁護士Y

翌朝…、柄にもなく素敵な香りに包まれている夢で目が覚めた。お花畑のような、いやもっと複雑で甘い何とも言えない香り。いったい何なのかも分からず、でも久しぶりに幸せな目覚めだ。 仕事に行く準備をしていると、あんなに飲んだのになんだかすっきりしている自分に気が付いた。

想いを寄せている女性はワイン通だった

弁護士Y

オフィスにて、笑顔で迎えてくれた事務のTさんに、今朝の話を何気なくすると、何てことはないように

Tさん

あ、それは昨夜のシャンパーニュの香りですよ!

弁護士Y

と言われた。
彼女は、ずっと自分が想いを寄せている女性で最近ワインスクールにも通っているワイン通だ。

Tさん

シャンパーニュ、私も実は、最初香りに取りつかれたのですよ。

弁護士Y

キラキラした笑顔で、シャンパーニュについて語る彼女はいつもよりずっと綺麗に見えた。

その日の夜、勇気を振り絞って昨夜のバーへ

弁護士Y

ソムリエにお願いして、昨夜と同じシャンパーニュを出してもらう。グラスに注がれたシャンパーニュからは、昨夜の夢と同じ香りが溢れていた。

なんだかすっかり感動して気分が良くなった自分はいつも以上に饒舌になり、もうすぐやってくる彼女の誕生日に何かシャンパーニュを贈りたいと相談したところ、ワインに詳しい彼女にシャンパーニュの贈り物なら、とっておきのショップがありますよ、とシャンパーニュ専門のセレクトショップを紹介してくれた。
 
元心理士だという異色のソムリエが、彼女の性格やお気に入りものをヒントに選んでくれた、彼女の為だけのシャンパーニュ・・・。

あれから、2年後の夜

弁護士Y

あれから、2年後の今夜、僕は彼女のために、結婚記念日のシャンパーニュを選んでもらっている。
シャンパーニュを飲む彼女は、いつも以上に美しく、彼女の為ならなんだってしたいと思ってしまう。
あの日勇気を振り絞って、シャンパーニュを贈った自分に「Good job!」と言ってあげたい。
彼女の心に響いたシャンパーニュは、僕と妻の人生を変えてくれた。

いつもよりずっと美しい。(マダム・ポンパドール)

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